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古くから伝わる伝統工芸「八重山ミンサー」とは 「八重山ミンサー」の柄に込められた意味とは 「八重山ミンサー」のルーツ(歴史)とは ミンサーのお手入れの仕方(洗い方) 沖縄の伝統工芸について |
沖縄でもっとも多く見られるといわれる織物の柄である「ミンサー柄」。そこには愛で結ばれた男女の物語が隠されていました。大事な人を想う気持ちは、いつの時代も変わりません。さまざまなグッズとしても売られている「八重山ミンサー」をご紹介します。
古くから伝わる伝統工芸「八重山ミンサー」とは
八重山ミンサーとは古くから伝わる織物で、沖縄県の八重山郡竹富町や石垣市で作られています。生まれた当初は、帯として織られてきました。
「ミンサー」の語源ですが、「ミン=綿」で「サー=狭」を表しており、「綿で作られた幅の狭い帯」という意味になります。「五つのマス目」と「四つのマス目」が交互に織られているのと、両端に「細く短い線」が連なった柄が特徴的です。
「八重山ミンサー」の柄に込められた意味とは
昔、八重山地方は「通い婚」であったといわれています。婚姻が決まると、婚礼のしるしとして女性から男性に「八重山ミンサー」の帯が贈られていました。
五つのマス目と四つのマス目、両側にムカデの足のような縁取り。この八重山ミンサー特有の柄には、「いつ(五)の世(四)も末永く、(ムカデの足のように)私のもとに足しげく通ってください」という想いが秘められています。
婚姻が決まった女性から男性への愛が詰まっていたのですね。大事な人を想いながら作られた帯は、きっと何よりものお守りとなったことでしょう。
現代でも結婚式の際には、八重山ミンサー柄の物がよく贈られています。最近ではマスクなどのグッズも作られ、沖縄の人のみならず、お土産として観光客や県外の人からも親しまれています。
大切な人へ「お守り」の意味を込めて、贈り物としても喜ばれそうですね。「無事にかえってください」という祈りが、きっと届くでしょう。
「八重山ミンサー」のルーツ(歴史)とは
八重山ミンサーのルーツに関する説は、2つあるようです。一つはアフガニスタンの腰ひもが、中国を経て八重山地方に伝わったという説。もう一つは、木綿発祥の地であったインドから伝わったという説です。
詳細は定かではありませんが、16世紀ごろの琉球王国時代には木綿布が使われていたことが、古い文献に残っているとのことです。このころには、八重山ミンサーが織られていたのではないかと考えられています。
ミンサーのお手入れの仕方(洗い方)
ミンサー柄の小物であれば、その製品の洗濯表示通りにお手入れをしていただくのが一番です。ミンサー織りのお手入れについては下記のようになります。
ミンサー織りの普段のお手入れ
水を含ませて、かたく絞ったタオルで全体を拭きます。その後は、乾いたタオルで水分を取るように拭いていきます。帯の場合には、汚れがひどくなったり、シミがついたりしてしまったときは、ドライクリーニングに出すようにしてください。
ミンサー織りを保管するときは、直射日光にあてないようにしましょう。
ミンサー織りの小物に醤油などが染み込んでしまった場合
ミンサー織りについては、洗濯機は使わないようにしてください。型崩れの原因となります。醤油などのシミをすぐに落とす場合はまず、シミの下に乾いたタオルを敷きます。シミの上から濡れたタオルで、叩くように汚れを押し出していきましょう。
すると、下に敷いてある乾いたタオルのほうへ、汚れが移っていきます。あとは輪染みにならないよう全体を濡らして、乾いたタオルで丁寧に水分を取り除き干します。この方法で洗うのは、ミンサー織りの小物だけにし、帯はドライクリーニングにお願いしましょう。
沖縄の伝統工芸について
沖縄には、さまざまな伝統工芸品があります。おもな伝統工芸品を下記にご紹介します。
焼き物
沖縄では焼き物のことを、「ヤチムン」とよばれています。焼き物が沖縄に伝わったのは、14世紀~16世紀であると考えられています。当時の沖縄は琉球王国時代で、中国や東南アジアなどと国交があったため、焼き物の作り方も伝わったのだということです。
1609年に薩摩が琉球を治めてからは、朝鮮から技術者を呼んで学び、さらに独自に発展していきました。沖縄の代表的な焼き物には、現在の那覇市の壺屋焼があります。昨今では焼き物の町として知られ、地元の人だけでなく多くの観光客が訪れています。
染織物
染織物(そめおりもの)が入ってきたのは、14世紀~16世紀の琉球王国時代であると考えられています。中国や東南アジアなどと交易が盛んだったため、染織物の技術も伝わったのだとされています。沖縄の染織物の種類は、じつは非常に豊富です。
「紅型(びんがた)」、「琉球絣(りゅうきゅうかすり)」、「久米島紬(くめじまつむぎ)」、「芭蕉布(ばしょうふ)」、「宮古上布(みやこじょうふ)」、「八重山上布(やえやまじょうふ)」、「花織(はなおり)」、「ミンサー」などが代表的な染織物となっています。
漆器
漆器(しっき)とは、うるしを塗って仕上げた器具のことです。沖縄では、14世紀には作られるようになったといわれています。もともと、技術は中国から伝わってきました。その後、琉球(沖縄)で独自に発展し、「琉球漆器」とよばれるようになったということです。
その技術は海外でも非常に評価が高く、外国でも多く売られるようになりました。その中でも、「堆錦(ついきん)」という漆器を飾りつける技法は、琉球(沖縄)で生み出されているということです。
琉球ガラス
沖縄でガラスが作られ始めたのは、明治時代の末期だと考えられています。当時は、透明なガラスで「薬ビン」・「菓子ビン」などが作られていました。
戦後、使用済みのビンを利用して、ガラスの製造を行っていたということです。その後、ガラスに色がつき、「琉球ガラス」として広まっていきました。現在では、珪砂(けいさ)や石灰(せっかい)などを混ぜて作られていることが多くなっています。
色鮮やかなガラスは、観光客にとても人気があります。観光客向けに、製作体験なども行われています。
三線
三線(さんしん)とは、沖縄に古くから伝わる楽器です。14世紀末ごろに、三線の原型といわれる楽器が中国から伝わりました。15世紀ごろに、現在の三線が生まれたとされています。
三線は、沖縄の伝統芸能である「組踊(くみおどり)」・「エイサー」・「民謡」などで古くから演奏されています。近年では、ロックやポップスなどにも用いられ、沖縄のみならず広く親しまれています。
温かみもあり強くもある音色は、まさに沖縄の人そのものを表しているかのようです。
まとめ
沖縄には、琉球王国時代から数多くの伝統工芸品が存在します。沖縄の風土から独自に発展し、今では日本のみならず海外でも親しまれるようになりました。その中でも「ミンサー」の柄には、沖縄の愛にまつわる歴史があらわれています。
ミンサー柄に込められた意味は、「いつの世までも末永く、私のもとに足しげくお通いください」ということでした。ミンサー織りが生まれた当時は、女性から男性に贈る帯として作られてきましたが、現在ではさまざまな物が作られています。
結婚にまつわる贈り物としてだけではなく、大切な人へのお守りとして贈ることも多いということです。ミンサー柄は、大切な人への贈り物にピッタリといえるのではないでしょうか。
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